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岡山地方裁判所 昭和52年(わ)44号 判決

本店所在地

岡山県倉敷市児島下の町九丁目四番一七号

法人の名称

須磨商事株式会社

代表取締役

須广錚一

住所

倉敷市児島下の町九丁目五番一七号

本籍

岡山県川上郡成羽町大字成羽二、七一六番地

住居

同県倉敷市児島下の町九丁目五番一七号

会社役員

須广錚一

明治四三年四月二三日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官中山包雄出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告会社須磨商事株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、

被告人須广錚一を懲役一年に処する。

被告人須广錚一に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社須磨商事株式会社は表記肩書地に本店を置き、被服の附属材料の販売を目的とする法人であり、被告人須广錚一は右被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人須广は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、たな卸原始記録を抜き取ってたな卸金額の一部を除外したり、売上金の一部を除外し、且つ架空の現金仕入を計上して簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一、昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一億七、一四三万〇、五六七円で、これに対する法人税額が六、二一七万六、八〇三円であるのに、同年五月三一日所轄の倉敷市児島小川五丁目一番六六号児島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億二、〇六六万八、二六一円で、これに対する法人税額が四、三五二万二、三八六円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右事業年度の法人税一、八六五万四、四一七円をほ脱し

第二、同四九年四月一日から同五〇年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が六、七〇一万五、八五六円で、これに対する法人税額が二、五二〇万〇九一七円であるのに、同年五月三一日前記児島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、六一一万二、二三三円で、これに対する法人税額が八八四万七、二七七円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右事業年度の法人税一、六三五万三、六四〇円をほ脱し

第三、同五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一億二、八五四万二、七八〇円で、これに対する法人税額が四、九五四万四、三六八円であるのに、同年五月二八日前記児島税務署において、同署長に対し、所得金額が八、〇五二万五、五六一円で、これに対する法人税額が三、〇三三万九、一二八円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右事業年度の法人税一、九二〇万五、二四〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判事全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各供述調書

一、須磨薫、須磨雅昭の大蔵事務官に対する各供述調書

一、須磨雅昭、角南恭子の検察官に対する供述調書

一、須磨澤枝、角南恭子、岡野七郎の大蔵事務官に対する各供述調書

一、増田好身、黒江緑、小川晴美、仙田元宣、小橋晃、諏訪重弘作成の各上申書

一、柿田長洋作成の答申書

一、大蔵事務官作成の各調査事績報告書

一、被告人作成の確認書

一、押収してあるノート四冊(昭和五二年押第四〇号の一六ないし一九)

一、押収してある法人税決議書一綴(前同号の二四)

一、児島税務署長作成の青式申告の承認申請の各取消決議書謄本

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四八年度分)

一、押収してある総勘定元帳(48・4~49・3。昭和五二年押第四〇号の二)、銀行勘定元帳控(48・4~49・3。前同号の六)、たな卸関係書類封筒入二袋(前同号の二〇及び二一)

一、児島税務署長作成の法人税確定修正申告書謄本(昭和四八年度分)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四九年度分)

一、押収してある総勘定元帳(49・4~50・3。昭和五二年押第四〇号の三)、銀行勘定元帳(49・4~50・3。前同号の七)、仕訳伝票一綴(49・10~50・3。前同号の九)、たな卸伝票一袋(前同号の二二)、たな卸在庫集計表一綴(50・3。前同号の二六)

一、児島税務署長作成の法人税確定修正申告書謄本(昭和四九年度分)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五〇年度分)

一、平松瑞史作成の上申書

一、押収してある総勘定元帳一綴(50・4~51・3。昭和五二年押第四〇号の四)、銀行勘定元帳一綴(50・4~51・3。前同号の八)、仕訳伝票一綴(50・10~51・3。前同号の一〇)、たな卸表四冊(〈A〉ないし〈D〉、前同号の一一ないし一四)、たな卸原始記録一袋(前同号の一五)、たな卸調査表一袋(前同号の二三)、たな卸在庫集計表一綴(前同号の二五)

一、児島税務署長作成の法人税確定修正申告書謄本)昭和五〇年度分)

(法令の適用)

被告人須广錚一の判示各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項、第七四条第一項第二号に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの判決確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

被告会社については、判示各所為は法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項、第七四条第一項第二号に該当するが、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一、〇〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 藤戸憲二)

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